それは、それでしかない

手のひらのホクロをぼんやりと見つめる
薬指の下にある、小さな小さな黒い点
なんだかこれって「私みたいね」とふと思う
どの皮膚にも染まりきれずに黒点と化すするしかなかった「どうしようもない私」
そしたらたまらなく取りたくなって、これだけは何が何でも守らなければなんて矛盾した感情に襲われてしまったのだから可笑しいね

これはただのホクロ
私じゃない
そんな為に存在しているんじゃない
ただ、これは、薬指の下に存在しているだけ

私は私を愛する代わりに何かを求めすぎるのね
そんな当たり前のことをまともな年齢になってホクロの存在によって知るのだから馬鹿馬鹿しい
何を吸収して今まで生きてきたのよ
(何もかも消化不良なのでしょう?)
ねえ、愛するって、(ここまで言葉にして言葉にならない)

さあお茶にしましょう
今日は何がいい?
こうして意識をそらして私はいつまでもいつまでも呼吸を繰り返すのよ